祝・ノーベル医学生理学賞
先週、北里大特別栄誉教授の大村智氏がノーベル医学・生理学賞を受賞されました。
日本人の受賞は嬉しいですが、さらに、今回はとても身近なものに関わる受賞なのでとても興味深いです。
大村さんは1974年静岡県の土壌で見つけた新種の放線菌から、寄生虫や昆虫をマヒさせる機能を持つ抗生物質を発見。その後、「イベルメクチン」の開発につなげ、アフリカなどに蔓延する熱帯病の治療薬として成果を挙げ、全世界で10億人ものの人々を感染症による失明の危機から救ったと言われています。
実はこの薬、現在も多くの犬がお世話になっています。
当院でも使用している、フィラリア症予防の薬の1つがイベルメクチン製剤です。
15~20年以上前はフィラリア症の予防に毎日の投薬の必要がありました。予防率も低く、フィラリア症に感染して亡くなるワンちゃんが沢山いました。このイベルメクチン製剤のおかげで1ヶ月間隔の投薬での予防が可能になり、おかげでフィラリア症予防が普及し、犬の寿命が延びたとも言われています。
大村氏は記者会見で、
「私の仕事は微生物の力を借りているだけ。私自身が偉いことや難しいことを考えたわけではないので、私が(賞を)頂いていいのかなという気持ちです」
と、仰っていました。とても謙虚な方です。
大村氏の研究者としての姿勢にも興味が湧きます。
犬の寿命が10年延びたのは、ノーベル賞大村教授のおかげだった