犬にも猫にも骨関節炎があります。
骨関節炎は、骨を持っている動物みんなにおこる疾患です。恐竜の化石をみても、あちこちに関節炎がみられるくらいです。人も40代、50代から、関節が気になる方も多いのではないでしょうか。私も40代半ばから、膝や股関節、頸の痛みに悩まされています。自分が痛みを感じるようになってから、この痛みは他の人には伝わらないのだと気づきました。
実は、成犬の20%、成猫の60%は、レントゲンで関節炎の徴候が認められるとの報告があります。
ですが、飼い主さんの半数は愛犬・愛猫の症状に気づいていないのが現状です。
関節炎は進行速度が緩やかで、明確な痛みのサインがなどがわずかのためなかなか気づかれないようです。
○骨関節炎の原因
関節軟骨の異常 : 加齢、感染、免疫疾患、内分泌疾患、遺伝疾患、骨軟骨症などで生じます。
関節に対する異常な負荷: 肥満、外傷、過度の使役、関節の異形成や弛緩、脱臼などで生じます。
○骨関節炎の症状
・立ち上がるのに時間がかかる。動き出すとそれなりに動ける。
・足に触ると痛がる
・階段の上り下りを嫌がる
・痛がって鳴く
・活動性が低下する
・ジャンプしたり遊んだりしない など
骨関節炎は、進行性の疾患で、軟骨を損傷し、関節に炎症を引き起こします。
損傷軟骨は治癒しないため、軟骨の悪化をそれ以上進行させないことが重要となります。
また、痛みが感作されると、感作された部位の感受性が上がり、より痛みが生じやすくなってしまいます。
○骨関節炎の治療
理学的療法
・体重管理
・適切な運動 30-60分のゆっくりの散歩など
内科療法
・疼痛管理:消炎鎮痛剤 ※長期間投与できる薬剤もあります
・骨関節炎症状改善剤(注射薬)
・不飽和脂肪酸 : 抗炎症作用を期待
外科療法:
・上記の方法でも痛みが取れない場合は手術が適応になることもあります。
その他
・フローリングなどの滑りやすい床での生活を避ける
・爪の管理/肉球周囲の毛のカット
治療の目的は完治ではなく疼痛の緩和と関節機能を向上させ関節の変形の進行を遅らせることです。
骨関節炎は、進行性の疾患で、いちど進行した状態を治すことはできません。
骨関節炎の症状をみつけたら、早めの治療をお勧めします。