意外と多い、犬猫の腎疾患 2

前回の私のブログに、
意外と多い、犬猫の腎疾患
というものを書きました。
ここでちょっと腎臓について勉強してみましょう。
ネフロン.jpg
腎臓には、”ネフロン”と呼ばれる腎単位が無数にあります。
ネフロンは、血管を濾過して原尿を作る”糸球体”とその原尿から要るものと要らないものを選択的にふりわける”尿細管”からできています。
ネフロンの数は猫では両方の腎臓で約40万個、犬では犬種にもよるが両方の腎臓で約80万個あると言われています。
慢性腎疾患は、一部のネフロンが何らかの原因で壊れると、他のネフロンはその分も働こうと無理をして自らも壊れていきます。そして、働けるネフロンの数が少しずつ減り、腎臓の機能が低下していきます。
いちど壊れたネフロンは元には戻りません。
ですので、
慢性腎疾患は、早期発見すること、そして、残った腎臓に負担かけないような食事改善や投薬が必要になってきます。
今までは、腎機能の評価に
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〇 尿比重
尿の濃縮能の指標
〇 血中クレアチニン
腎濾過機能の指標
〇 BUN
体内の老廃物蓄積の指標
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などを使用していました。
でも、実際は、
尿比重の低下は、
ネフロンの66%が喪失してから
血中クレアチニン濃度は、
ネフロンの75%が喪失してから
やっと異常がみつけられる程度でした。
ですが、ここ最近、
もっと早期に腎機能低下を発見できると考えれている検査項目が登場してきました。
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〇 犬シスタチンC
15.0kg以下の小~中型犬の場合、
GFRが低下してもクレアチニンは
上昇しにくく、シスタチンCはク
レアチニンより感度良いと考えら
れている。
〇 SDMA
腎機能が40%失われた段階で上昇
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腎臓はいちど壊れると再生してくれないので、進行性に病態が進んでいきます。
”多飲多尿”が主訴で、腎疾患に気づくことも多いです。
また、無症状だけど、健康診断で腎疾患がみつけられることも多いです。
興味のある方は、ご気軽にご相談ください。
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