歯周病について ①

■歯周病は
・老齢性の疾患ではなく、感染症のひとつです。
加齢とともに発症率が高くなり、重度になりやすい傾向があります。

・犬と猫においてあらゆる病気の中で最も多い疾患です。
一般的に犬では小型犬のほうが中型犬・大型犬より歯周病になりやすい傾向があ
ります。
■原因
歯の表面に付着している歯垢中の細菌が原因で、歯の周りの組織に炎症を起こします。
■症状
歯の表面に歯垢・歯石が付着すると歯垢中の細菌が歯の周りに炎症を起こして、歯
肉が赤く腫れてきます。歯を支えているあごの骨や歯根膜も壊されていきますので歯
がぐらついてきて最終的に歯が抜けてしまうこともあります。さらに炎症が進むと歯根
の周りも壊されて、眼の下やあごの下が腫れたり、これらの部位の皮膚に穴が開き、
血液や膿が出たり、口と鼻がつながって鼻水やくしゃみがでたり、下顎が骨折してし
うあむこともあります。さらに、炎症を起こした口の粘膜から血管に細菌が入り、心臓、
肝臓、腎臓などが病気を引き起こしてしまう恐れもあります。
歯垢・・・口腔細菌や細胞の残骸、血液成分、唾液由来のタンパク質、食物のカ
スなどから構成されています。歯磨きで取れます。

歯石・・・歯垢が数日たつと、唾液中のカルシウムやリンを取り込んで石灰化して
固くなったものです。歯磨きでは取れず超音波スケーラーで取れます。
■治療
歯周病の原因は歯垢中の細菌ですので歯垢をなくせばよいです。歯石そのものの中
には細菌はいないのですが、歯石の隙間に歯垢がたまりやすいので、超音波スケー
ラーで歯の表面に付着している歯石・歯垢を除去します。
歯石・歯垢の除去は全身麻酔下でおこないます。
そのため、術前に年齢に応じて血液検査、血液化学検査、胸部X線検査、超音波検査
を行います。
また、口腔内の状態により、口腔内のX線検査、血液凝固検査も必要になります。
■予後
歯周病の治療により通常歯周病は治ります。
しかし、歯周病の治療を行った後にデンタル・ホームケアを行わないとただちに歯垢・
歯石が付着して、また すぐ歯周病になります。
したがって、歯ブラシを用いたデンタル・ホームケアを行うことが大切です。
最近は、ワンちゃん、猫ちゃんの口臭や歯周病を気にして、歯石取りなどの歯科処置
を希望される方も増えてきました。ですが、歯周病が重度で、いくつもの歯を抜歯しな
くてはいけないケースも少なくありません。
処置前
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処置後
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抜歯した歯
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できれば、歯周病が悪化する前から、歯科処置とデンタル・ホームケアをおこなって
いただきたいと思います。
院長
歯周病について ②
歯周病について ③